国民年金と厚生年金の仕組み
Q. 障害年金を検討しているのですが、そもそも年金制度についてよくわかりません。
私は、現在、夫の扶養に入っているのですが、請求できる年金は何になるのでしょうか。
また、私の知り合いは22歳の学生時代に事故にあって障害を負いましたが、現在は会社員として働いており、厚生年金に加入しています。こういった場合はどうなるのでしょうか。
A. 障害年金は、初診日において加入していた年金での請求となります。相談者の方は、現在配偶者の方の扶養に入っているということですが、初診日頃も同じ状況だった場合は国民年金の第3号被保険者となり、国民年金での請求となります。お知り合いの方は、初診日頃が学生だったということで、おそらく国民年金での請求になるでしょう。
今回は、障害年金そのものではなく、これを取り巻く「年金制度」についてお話しようと思います。
私たちは、20歳になると国民年金への加入が義務付けられています。国民年金制度は、私たちが加齢・障害・死亡によって、日常生活における稼得能力が低下した場合に、所得を保障することで生活を維持できるようにすることを目的とした制度です。
※ 死亡の場合は、残された遺族(一定の要件あり)に対する所得保障となります。
また、会社員として働く方には、国民年金に上積みできる厚生年金制度があります。厚生年金に加入している人は、国民年金に加入しながら厚生年金にも加入している状態となります。
ニュースなどでよく話題となる年金とは、正確には「加齢に対する所得保障のための年金」のことで、これは「老齢年金」と呼ばれています。一方、老齢となる前(65歳未満)に、障害によって稼得能力が低下してしまった場合、所得保障として働くのが「障害年金」です。このため、障害年金は原則として20歳から65歳未満の方が対象となっているのです。
障害年金は、初診日に加入していた年金によって、請求できる年金の種類が障害基礎年金(国民年金)・障害厚生年金に分かれます。あくまで、初診日の加入制度で判断されますので、初診日に国民年金だった方が、その後会社に就職して厚生年金になったとしても、請求できる年金は国民年金になります。
また、会社員の配偶者の扶養に入っていた方は、国民年金第3号被保険者という区分になり、国民年金の加入となります。医療保険制度である健康保険における扱いとは異なっていますので、注意が必要です。
※健康保険制度では、健康保険の被保険者である配偶者の扶養に入っていると、同じように健康保険が適用されます。しかし、厚生年金制度では、厚生年金の被保険者である配偶者の扶養に入っていても、厚生年金は適用されません。
障害年金は、加入年金によって大きな差があるため、加入年金制度の確認は正確にしたいところです。また、国民年金の場合は、保険料の納付手続きを自分で行わなければならないため、納め忘れや免除申請の届出漏れといったことがおこらないよう、十分な注意が必要です。