障害年金とうつ病などの精神障害
障害年金と聞くと肢体の障害を思い浮かべるかもしれませんが、実際の受給者数の傷病別内訳をみるとうつ病等の精神障害の割合が全体の3割以上を占めています。
うつ病、統合失調症など精神疾患によって仕事ができなくなる、家事や身の回りのことができなくなるといった日常生活に支障をきたす事も多く、そのため申請する人も増えています。
ではいったい、障害年金を受給できる精神障害の程度とはどれくらいなのでしょうか。
ご存知かもしれませんが、障害年金は病気になったからと言ってもらえるものではありません。障害の等級に該当することが要件の一つです。
例えば障害年金の3級といえば、「労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」という認定基準があります。その基準に当てはまるかどうかは医師の書く「診断書」によって判断されます。
この「診断書」は障害年金の申請用に様式が決められています。そして傷病別にいくつか種類があり、その中に「精神障害用の診断書」もあります。
精神障害は数値で測ることが難しい疾患です。実際にどのように診断書にあらわされるのでしょうか。
その中の一つに「日常生活状況」を記載する欄があります。一般的に日常生活に欠かせない行動7項目についてどの程度可能かを記すものです。
具体的には①適切な食事②身辺の清潔保持③金銭管理と買い物④通院と服薬⑤他人との意思伝達及び対人関係⑥身辺の安全保持及び危機対応⑦社会性(公共施設等の利用や生活に必要な手続きなど)についてです。これら7つの事を行う際、もし単身で生活するとしたらどの程度自発的にかつ訂正に行うことができるかどうかを4段階に分けて判断します。できる、自発的にはできるが時には助言や指導を必要とする、助言や指導があればできる、助言や指導をしてもできない若しくは行わない、の4段階です。この7つの要素を点数で表し、総合的に判断して障害に該当するか決められます。
では、担当の医師に適切に診断書を書いてもらうためにはどうしたらよいでしょうか。それは自分の現在の症状をきちんと伝えることです。特にこの欄は「判断に当たっては、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断して下さい。」とわざわざ注意書きがしてあります。大抵は同居の家族等の援助があるため「できている」とみなされてしまいます。「単身で生活するとしたら」という見方で医師に伝えることが大切です。
障害年金の受給によって治療に専念できたり、体調に合わせて働いたりしている方が大勢いらっしゃいます。誰にでもうつ病など精神疾患になる可能性はありますし、治療も長期間となるケースがほとんどです。受給の可能性があるならば障害年金の申請を考えてみるのはいかがでしょうか。