我が国の公的年金制度は2階建の制度となっております。1階部分が「基礎年金(国民年金)」2階部分が「厚生年金、共済年金」となっています。
障害年金も公的年金制度のひとつですので、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金の3種類に分かれています。
すなわち初診日の時点で国民年金にのみ加入していた場合は障害基礎年金だけですが、厚生年金や共済組合に加入していた場合は、同時に国民年金にも加入していることになりますので、1・2級なら障害基礎年金と合わせて障害厚生年金や障害共済年金も同時に受給できます。
※初診日とは、初めて医師または歯科医師の診察を受けた日のことを指します。
障害基礎年金
障害基礎年金は、2階建てになっている年金の1階部分です。
日本に住んでいる20歳から60歳までの人は、すべて国民年金に加入しているので(たとえ保険料を払っていなくても)全ての人が障害基礎年金の対象です。
特に、自営業・専業主婦・学生などであれば国民年金だけの加入ですので、障害基礎年金のみが支給されます。
障害等級は1級と2級の2段階に分かれていて、子供に対する加給年金もあります。
受給できる金額(2023年4月1日時点)
障害基礎年金は定額です。1級は2級の1.25倍となっています。
1級 | 795,000円×1.25=993,750円(+子供がある場合は更に加算額) |
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2級 | 795,000円(+子供がある場合は更に加算額) |
子供の加算額
1人目・2人目の子 | (1人につき)228,700円 |
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3人目以降の子 | (1人につき) 76,200円 |
※子とは次の者に限ります。
○18歳年度末(高校を卒業する年齢)までの子供
○障害等級1級または2級の障害状態にある19歳までの子供
障害厚生年金・障害手当金
障害厚生年金は、2階建てになっている年金の2階部分です。
サラリーマンやOLが加入する、厚生年金に加入中であった期間に初診日があれば障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金は、1級・2級及び3級の3段階に分かれていて、障害等級が1・2級であれば障害基礎年金も合わせて支給され、さらに配偶者に対する加給年金も支給されます。3級であれば障害厚生年金だけが支給されます。
また障害等級1~3級に該当しなかった場合でも、一時金として障害手当金が支給されるケースもあります。
障害手当金は障害基礎年金にはない制度です。
受給できる金額(2023年4月1日時点)
障害厚生年金の額は、厚生年金に加入していた期間の長短、給与の額(払っていた保険料の額)などで異なります。
2級の障害厚生年金の報酬比例年金の計算は、老齢厚生年金と同じ計算をします。
1級の障害厚生年金の報酬比例年金の額は、2級の1.25倍です。
なお、若くして障害を負ってしまい厚生年金の加入期間が短い方は年金額が低くなってしまうので、加入月数300月未満のときは、300月として計算します。
また、3級の場合には、年金額が低くなりすぎないように最低保障額が設けられています。
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(+配偶者がある場合は更に加算額) |
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2級 | 報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(+配偶者がある場合は更に加算額) |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保障額 596,300円) |
障害手当金 (一時金) | 報酬比例の年金額×2年分(最低保障額 1,192,600円) |
配偶者の加算額 | 228,700円 |
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*障害年金は非課税ですので、老齢年金のように所得税や住民税を源泉控除されることはありません。障害年金と老齢年金のどちらかを選ぶ必要が生じた場合はそのことも考慮に入れて下さい。
障害共済年金・障害一時金
障害共済年金は、2階建てになっている年金の2階部分です。
公務員などが加入する、共済組合の組合員であった期間中に初診日があれば対象となります。
障害厚生年金と基本的な仕組みは同じですが、2階部分に職域年金相当部分がさらに追加されるのが大きな特徴です。
また障害共済年金は平成27年10月以降、在職中であっても2階部分も全額支給となりましたが、職域加算部分のみ全額停止となります。
このように一口に障害年金と言っても、障害となりうる病気やケガが発生した時点でどの年金制度に加入していたかによって、請求先や申請できる年金の種類も変わってきます。
ご不明な点がございましたら、当事務所にお気軽にご相談ください。