Q、厚生年金加入期間中に障害を負って、その程度が軽い場合、障害年金ではなく「障害手当金」が適用されると聞きましたが、障害手当金とはどのような制度なのでしょうか?
A、障害手当金は、病気やケガで障害が残った際、障害の程度が軽い場合に一時金が支給される制度です。
障害手当金が適用される、以下のようなケースを見てみましょう。
Oさんは、商社に勤めるサラリーマンです。
出張先の駅構内で、階段を踏み外して転倒し、手すりで左目を強く打ち付けてしまいました。
病院に緊急搬送され、治療を受けましたが、左目の視力が0.1以下に低下してしまいました。
両眼で見え方が違うため、距離感がつかめず日常生活でも不便を感じています。
会社の顧問社労士に障害年金の制度について教えてもらい、障害手当金の申請を行い、一時金約117万円の受給が決定しました。
上記のケースでは、障害の状態が認定基準のひとつである
「眼の障害:一眼の視力が0.1以下に減じたもの」に該当したため障害手当金が支給されました。
障害手当金を受給するためには、4つの要件が必要です。
①厚生年金の被保険者期間に初診日があること
②初診日において年金保険料納付要件を満たしていること
③初診日から5年以内にその傷病が治っている(病状固定を含む)こと
④傷病が治った日において、一定の障害の状態にあること
ここで注意しなければならないのは、③病気やケガが5年以内に治った場合にのみ請求することができるということです。
初診日から5年経過しても完治しない病気やケガについては障害手当金を請求することができません。
障害手当金の額は、それまで収めていた保険料額によって異なりますが、最低保障額が設定してあります。
そのため、新人として会社に入社してすぐに障害を負ってしまった場合でも、一定額が支給されます。
厚生年金保険の制度は、障害に対するはばが広いことが特徴なのです。