ホーム 投稿 受給事例 20年前の初診日を主張し、障害基礎年金2級を受給できたケース

20年前の初診日を主張し、障害基礎年金2級を受給できたケース

ご相談概要

傷病名 統合失調症
等級 障害基礎年金
支給額 約年額78万円

相談時の相談者様の状況

テレビで障害年金について知ったという会社員の男性から、相談を受けました。相談者様のお嬢様は、出産後から統合失調症を発症し、もう10年以上も治療を続けているとのことでした。

本人は家から出ることができないため、お父様が代理人として相談会にご来場されました。障害年金を受給することができるのか、手続きは本人でなくても大丈夫かというご不安をお持ちでした。

相談から請求までのサポート

お話を聞くと、お嬢様は投薬管理の元、できるだけストレスを感じることのないよう自宅で閉居生活を送っているということでした。日中はご両親が頻繁に様子を見に通い、家事労働なども援助を受けていました。一時は措置入院も経験しているほどの激しい症状があったことから、障害年金の認定基準を満たしていると判断しました。本人やご主人様は手続きが難しいということで、お父様が窓口になって手続きを進めることになりました。

この案件で問題となったのが、初診日の特定です。障害年金の請求において、初診日を特定することは最重要課題です。初診日がわからない状態だと、年金保険料の納付要件や障害認定日が明確にならないためです。お嬢様はご自身で最初の病院を覚えておらず、ご家族様もはっきりと覚えていなかったため、現在受診している病院から遡って前医を確認しました。

その結果、20年前に他県の病院を受診していることがわかりました。病院に問い合わせたところ、カルテは破棄されてしまっていましたが、事務的な記録が残っているということがわかりましたので、可能な範囲で「初診日・終診日・受診していた科」を病院に証明していただきました。

また、初診病院から紹介されて受診した次の病院では、幸いなことにカルテが残存していましたので受診状況等証明書を作成していただき、初診病院からの紹介の経緯を詳しくご記入頂きました。

20年以上の治療歴が判明したため、病歴・就労状況等申立書に詳細に記載し、それを参考資料として主治医の先生に診断書をご作成頂きました。

ほんの数時間の差ですが、このような場合は注意して聞き取りを行うことが必要です。懸念していたとおり、最初の受診では循環器内科を受診されており、救急搬送された際には心臓血管外科で処置が行われていました。総合病院において科が異なる場合は上記の特例は使えず、受診状況等証明書の取得が必要になります。

聞き取りを慎重に行った結果、同じ病院で受診状況等証明書と診断書を取得し、聞き取りした経緯を病歴・就労状況等申立書に詳細に記載して裁定請求をしました。

結果

決定まで時間がかかりましたが、無事障害基礎年金2級を受給することができました。
障害年金請求においては、初診日が明らかにされていないとそもそも請求自体ができなかったり、請求できたとしても不支給となってしまうことが多くあります。

一方で、医療機関においてカルテの保存期間は5年とされており、5年以上前の受診記録を探すのは一般的に難しい状況です。

しかし、この事例のように事務的記録が残っていたり、紹介先の病院で初診病院についての記録が残っていたりする場合もあります。あきらめず、丁寧に受診した医療機関を当たってみることが必要です。

障害年金の請求は、様々な特例や必要書類があり、個人にとって負担が大きな場合があります。特に、平均寿命が伸びている現代では、初診日を特定することが困難になりつつあります。

初診日が確定できないと請求をあきらめてしまう前に、ぜひ専門家にご相談ください。