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高次脳機能障害で社会的治癒を主張したケース

ご相談概要

年齢 30代/会社員
相談者 ご本人様・お父様
傷病名 高次脳機能障害
等級 障害厚生年金3級
支給額 約年額60万円

相談時の相談者様の状況

通院している医療機関のソーシャルワーカーの方から障害年金の制度を聞き、当センターの無料相談会をご予約いただきました。
相談会にはご本人様と、付添でお父様がご来場されました。
ご本人様は幼少期より脳の血管が細く梗塞・出血を起こしやすい病気だと診断されていましたが、これまで特に問題なく過ごしてこられたとのことでした。

大学を卒業後、一般企業で営業職として10年間程勤務されていましたが、ご相談時の2年前に脳出血を起こし、後遺症として高次脳機能障害と診断されたとのことでした。

相談から請求までのサポート

ご本人様およびお父様から詳しくお話を伺い、発症の経緯と現在までの経過、現在の日常生活での様子を確認しました。
高次脳機能障害として注意障害・遂行機能障害が残存しており、簡単な計算や漢字の書き取りができなくなっていました。
職場復帰への強い希望がありましたが、2つのことを同時に処理するといったことも苦手に感じており、リワークプログラムもなかなか進んでいない状況でした。

申請において最も問題となったのが、医師より「脳出血は、幼少期に診断された病気によるものである」との診断を受けていたことでした。
一般的に、申請する傷病(脳出血による高次脳機能障害)の原因となる傷病がある場合、初診日は脳出血を起こした日ではなく、「原因となった傷病の初診日」となってしまいます。
「原因となった傷病での初診日」は20歳以前であるため、等級の一つ少ない国民年金(障害基礎年金)での申請が考えられました。

そこで、今回の申請では、「原因となった傷病」について通常の社会生活を問題なく送れていたことを考慮し、「社会的治癒」を主張して初診日を「脳出血を起こした日」として申請を行なうこととしました。
社会的治癒とは、障害年金制度に特有の考え方で「治療を受ける必要がなく、社会復帰した状態」を言います。
社会的治癒の期間が一定程度継続していれば、病気が再発した際に、もともとの初診日ではなく”再発した際の初診日”を基準として、障害年金を申請できるというものです。

結果

申請から4ヶ月後、障害厚生年金3級の決定通知書が届きました。
社会的治癒の主張が認められて、ご本人様とご家族様からは喜びの声をいただきました。

障害年金の申請においては、原則と例外が数多くあり、今回のケースも「初診日の例外」に該当するものでした。
例外のケースでは、それを証明するための書類や資料を準備する必要があり、一人で行なうには非常な困難が伴います。
障害年金を相談する際には、できるだけ他の支援者の協力を受ける事が重要になってきます。個人での申請に難しさを感じていらっしゃる場合は、ぜひ専門家にご相談ください。